30年程前、昭和から平成に年号が変わった頃、
私は転職しました。
少し安易な気持ちで、個人経営のカメラ屋さんの面接を受けました。
そのお店は、これからDPEに舵を切る為、スタッフを募集してました

晴れてカメラ屋の従業員になった私は、DPEスタッフとして働きました。
DPEとは現像、焼きつけ、引伸しの事ですが、仕事はおもにお客様から、
35ミリのネガフィルムを預かり、スピード仕上げ【55分仕上げ、のちに35分仕上げ】
で同時プリント【現像とプリント 】まで行います。

新品の現像機とプリンター【富士フイルムのミニラボ】を稼働させると、
時にお店のカウンターには毎日大勢のお客様から同時プリントの注文が入りました。
丁度その頃、使い捨てカメラの写ルンですが大人気で、
どこへ行くにも、子供から大人まで、それを持って出かけました。


とても軽く丈夫なカメラ、写ルンですは爆発的に売れました。
お店で売れた写ルンですは、
イベントや旅行のお供をしながら、お店に戻ってきます。

ピーク時には、1日200個程の写ルンですを同時プリントで預かりました。
ミニラボは一日中、休みなく稼働しました。

作業内容は、写ルンですの本体からフィルムを取り出して、
現像機に挿入します。約13分後に現像済のフィルムが機械から出てきます。
フィルムは乾いた状態で出てきますので、
そのままプリンターにセットして一コマごとに露光させます。
露光させたコマは約5分後にプリントとして出てきます。

全てのコマのプリントが揃いましたら、
プリントとフィルムのセットでお返しします。

写ルンですは、手軽に思い出を写真に残してくれました。
家族の貴重な日々を写し留めてくれました。
現像してみると、中には一枚も写ってないフィルム【写ルンです】もあります。
また、全てのコマに撮影者の、指だけ写ってるフィルム【写ルンです 】もあります。
受取った人の落胆振りは、やはり写ルンですならではのものでした。

そして2020年、写ルンですは人気が出ております。
わざわざ写ルンですで写真を撮りたい欲求があります。

それは、失敗して、人差し指しか写ってなかった。
【 結果的には面白い写真かも 】
と予想もしてない物が撮れる楽しみがあるからかも。